拝啓、私をメンヘラと罵ったロリコンたちへ by マドカ・ジャスミン

マドカジャスミン

いつものようにTwitterをボーっと眺めていると、TLに流れてきたとあるツイートから目が離せなくなった。

ブログやコラムが人気の凛乃子さんが綴ったそのツイートを読んだ途端に早くなる心臓の鼓動。
頭の中に浮かぶのは、数年前の出来事たち。

気分は、あまり良くない。

何を隠そう、私は今となっては同い年の彼氏がいるものの、初恋相手は9歳上で、交際してきた男性は平均5歳上。歳上とばかり恋愛してきた人間なのである。

別にそれ自体は悪いことではないし、女性が歳上男性を相手に恋愛することは何ら珍しくはない。

しかし、何故私がこんなにも苦しくなったのか。
それは好きになったり、付き合ったりしたその歳上男性たちが、揃いも揃って私のことをこう表現されてきたからだ。

「メンヘラ」

メンヘラ。ただ純粋に好きで、その感情を表現していただけなのにそう罵られ、傷つき、涙を流してきた。

一体、私の何が悪かったのか…。いや、何故私はことごとく「悪者扱い」をされてきたのだろうか。

歳上を好きになる度に「メンヘラ」と罵られたあの頃

確かに今振り返れば、恋愛感情のみで相手に接していたのは紛れも無い事実だ。

自分の「好き」を相手に押し付け、応えてもらえないとメンタルが荒れたり、涙で枕を濡らしたりした夜は何度もある。
私が中高生で相手が大学生や社会人だったりすれば、時間的なすれ違いが起きるのだってごくごく当たり前のこと。

会えない時間が増えていけば、せめて電話で声が聞きたいと思う。賭け事のように、繋がるかどうかも分からない電話を掛け続けた。
どれだけしつこいと思われようとも、発信歴にはその人の名前が毎晩連なる。

だって、好きなんだもの。

でも、こちらがストレートにぶつける好意が相手にとって、段々と重荷となっていくのだ。

ずるいのは、いくらウザかろうと、彼らは純粋な好意を惜しみなく与えてくる。
歳下の女の子との関係を決して切ろうとせず、それどころか、いきなり冷たく距離を取ったかと思えば、今度は近づいてきて甘い言葉で私を惑わした

「嫌いなの?好きなの?」「好きでいていいの?離れなきゃいけないの?」「私は、どうすればいいの?」

戸惑いと不安を隠しきれないまま、時は無情にも過ぎていった。

歳上男性の中には結婚をし、Facebookにウエディングドレス姿の奥さんとのツーショットを載せている人も何人かいる。

私がただ好きだけで突っ走っていたコドモから、恋愛以外の軸を持つオトナになったのと同様に、彼らもまた比例してそれぞれの人生を進めていた。

自分が“歳上”に近づいて気づいたこと

気がつけば、24歳になっていた。

それは、私が好きになった歳上男性たちの立場で物事を考えられるようになったとも言える。

当時の彼らと同い年になってみて知ったのは、24歳なんてまだまだ世間を知らないクソガキという現実だった。

あれだけ眩しくて、追いつきたくて、肩を並べたくて、心の底から憧れの対象としていた男性たちは、社会ではただの若い未熟者でしかなかったのだ。

別に今更未練を抱いているとかでは無い。けれど、言葉にし難い虚無感に襲われるのだ。
言うなれば、まるで今まで崇めていた神様が悪魔だったぐらいの虚しさ・・・。

そして、何よりも複雑だったのは、彼らの気持ちが想像できてしまったことだ。

そりゃ嫌いではないし、どちらかというと好き寄りの…しかも歳下の女の子から、これでもかと好意のシャワーを浴びせられるのは悪い気分にはならない。むしろ場合によっては、とんでもないぐらいの快感になるだろう。

person touching clear shower glass

忖度の無い好意を向けられることは、オトナになればなるほど難しくなる。
何も恋愛だけに限らない。やっと20代前半のクライマックスを歩み始めた私でさえも、理解出来てしまうぐらいの残酷な変化だった。

だからといって、自己中心的に歳下の女の子を結果的に振り回し、「メンヘラ」と呼ばれる状態にした最大の原因は、彼らの身勝手で大人げない言動だったに違いない。

ロリコン男性の愛情は愛情なんかじゃない

何よりも、彼ら側になってしまった私はこう思う。

心身共に健全な成人男性であるならば、中学生や高校生に下心を表明しない

「名の知れた経営者が未成年と肉体関係を持っている」「あの芸能人は10代フェチだ…」嘘か本当かは定かではない噂も耳に入ってくるが、自分の経験として100%の嘘だとも言い切れない。

社会的に成功しているとされている人が、こぞって無垢な女の子に好意のシャワーを求めている。

なんて滑稽な光景だろか。

そういう人たちはきっと心が不健全なのだろう。
女の子たちには「好き」とは言っているものの、彼らが一番好きなのは間違いなく自分自身なのだ。

しかし世間体を考慮すると、それをむやみやたらにアピールは出来ないし、健全な異性にそのケアを求めたところで対応はたかが知れている。
なので、歳下…自分が圧倒的に上に立てる存在を欲すのだ。

それは、愛情じゃない。
邪悪で幼稚で歪な承認欲求だ。

勿論、そこには責任感など無く、自分の手に負えない面倒臭さを孕み始めたら、女の子を蔑ろにする。

本来その相手ときちんと関係を築いているのであれば、するべきは対話であり、逃避ではない。
メンヘラ製造機と通称・自称する男性もいるが、健全な相手と一緒にいればメンヘラになりようが無いのだ。

女の子が勝手に重くなり、メンヘラになるのではない。純朴な好意に承認欲求で返し続けた、当然の結果とも言える。

自分がどれだけ成長しようと彼らには関係ない

私はメンタルが強い方ではないとはいえ、10代の頃はもっと弱かった。

歳上男性たちとの恋愛によって散々痛めつけられていたあの頃のメンタルは、今にも粉々に砕けてしまいそうなガラス細工にも似ていた。

どれだけ罵られようが、冷たくされようが、自分のプライドを傷つけられようが、幼いながらに抱いた好意や愛情を伝え、それに応えてもらおうと必死だった。

それこそが私のアイデンティティだったとも言える。

彼らがどれだけ罵ろうが、私はずっと、愛に本気だったのだ。

それぐらい人を好きになれることは素晴らしいし、その情熱を調節できないのは若さ故だったのだろう。

未だに恋愛に対しては真正面からぶつかってしまうものの、今の私はその調節が昔よりかは上手くなったと感じている(とはいえ、人よりは情熱的だ)。

  • 深夜に何度も電話は掛けなくなった(眠い)
  • 「会いたい」を繰り返さなくなった(私も暇じゃない)
  • 相手の言葉に振り回されなくなった(やれるものなら振り回してみろ)
  • 相手からの好意や愛に良い意味で期待しなくなった(勝手に好きって言う)
たまに友達から「メンヘラw」と軽い調子でイジられることはあっても、恋愛で「死にたい」とは思わなくなっていた。

昔の自分からしてみれば、これは所謂「圧倒的成長」と言えるかもしれない。イジってくる友人たちも、その点の変化には気づいてくれていた。

だけど、当事者たちはそう思わないらしい

ある日、当時情熱的な好意を抱いていた歳上男性と会う機会があった。彼と親密だった頃に比べると、メンタルを始めとした見た目・価値観が変化した。

そしてそれは、自他共に認める良い変化だった。
彼を前にした私は、いつもよりほんの少し胸を張り、堂々と振舞って見せた。

「どうだ?あんたが罵っていたコドモはこんなにもオトナになったんだぞ」心の中でそう呟きながら、ニコニコと談笑を続ける。

けれど去り際、彼は私にこう言い放った。

「昔と何も変わらないな。」

心のどこかで彼を見返したいと思っていたが、その言葉を耳にした瞬間に否が応でも悟る。

「ああ…この人の中では、私はいつまで経ってもメンヘラなコドモなんだな」と。
彼がそうだったように他の人たちも、私の成長になんて興味が無いのだとも考えた。

そりゃそうだ。私にアンバランスな愛情の皮を被せた承認欲求をぶつけてきていたのだから、最初から私そのものになんて興味は無かったのだ。

承認欲求を満たしてくれないオトナは、彼らにとっては何ら価値が無い。

あの頃の私に謝り、その人との過去に鍵を掛けた。
開く時は永遠に訪れないだろう。

他人を承認欲求を満たす道具にするな

他人を承認欲求を満たす道具にするのは、何も男性だけではない。

例えば、彼氏や配偶者のスペックを、さも自分のスペックと勘違いしている女性。彼女たちもまた、そうして承認欲求を必死に満たしている。

最も悲惨なのは、知らず知らずのうちにその行為が自らのアイデンティティとなってしまっていることだ。

神のように若い女の子を自由に扱う。アクセサリー感覚でハイスぺ男性と一緒にいる。
対人である筈なのに、彼・彼女らは人を物のように認識している為、段々とそういった価値観でしか対人関係を構築できなくなってしまう。恋愛だけではく、家族・友人・職場・すべての関係において。

相手を道具としてでしか見れない、上下関係を作らないと関係を築けない、その先にあるのは地獄のみ。
でも、自らが気づかない限り、一生その思考の癖は治らないだろう。

世間知らずの幼き女の子に承認欲求を満たしてもらおうだなんて、愚考する前に自分と向き合うべきだ。

あなたが人間であるように、

相手もまた人間であることを肝に銘じろ。

そうだよ、そこのあなただよ。

他人のフリをして聞いている、あなただよ。

 

作家

マドカ・ジャスミン

 

 

 

持ち前の行動力と経験を武器に、体当たりライターとして注目を浴びる。また性についてもオープンに語る姿が支持を集め、自身も性感染症防止の啓蒙活動を行う。

近年では2018年に著書「Who am I?」(KADOKAWA) を刊行。テレビ番組や雑誌への多数出演・アパレル業に携わるなどマルチに活躍中。

過去出演番組:『山里と100人の美女』(TBS系)『それ、古いっすよ』(テレビ朝日系)『おしゃべりオジサンと怒れる女』(テレビ東京系)『指原莉乃&ブラマヨの恋するサイテー男総選挙』(AbemaTV

Twitter@mdk_jasmine