結婚を決める前に知らないと後悔する「F」の話

トイアンナさん アイキャッチ画像

結婚が決まる前に知りたい、近い未来のリスク

20代女性から恋愛・結婚について相談をいただくと、9割がた登場するのが「子供が欲しい」という言葉

むしろ結婚したいのは子供が欲しいからで、「子供が手に入るなら夫っていらないんじゃ……?」なんて過激な相談もいただく。

person holding belly photo

確かに「結婚したい」と口に出すことはあれど、結婚制度っていらないんじゃない?とは、結構な人が思い始めているところだろう。

結婚式は盛り上がるからやりたい、ハネムーンも素敵。でも、そのあとに続く結婚「生活」って、結婚制度を使わずに事実婚だけでも行けちゃうんじゃない?

自分の親が不仲だったら、結婚へのあこがれなんて失せている。離婚率も上がっている中で「永遠にともに」の夢は、必ずしも叶わないことが分かっている。名家でもなければ”家を継ぐ”なんて考えもナンセンス。特に女性は男性より長生きだから、どうせ結婚しても最後はひとりだし……。

woman holding baby

結婚制度や、老後のリアルについて知れば知るほど『世間体や親の願いさえなかったら、私って結婚しなくてもよくない?』と思うかもしれない。

そして、それでも残される「わざわざ結婚する理由」は、

「子供には両親そろっていてほしいから」「一人で子を産んで育てる余裕はないから」「法律的にも、結婚しておくと子供への相続が楽だから」

など、子供を見据えたものになる。

かつてなら「子はかすがい」と言ったものだが、今ならもう「子は目的」と言えるくらい、結婚のど真ん中にあるのだ。

person holding baby feet

そして、女性は婚活を始める。アプリで出会って、結婚式を挙げて……理想のパートナーに巡り合える。そして婚姻届けを出して1年後、女性はようやく考え始める。

「そろそろ、子供を作る時期かな。」

それまで、子供が「できない」可能性のことなんて考えもせずに。

女性が結婚するまで考えないF(不妊)のリスク

”不妊”と聞いて、あなたはどんなイメージを持つだろうか。

  • 40歳以上の高齢出産をする女性が取り組むもの
  • 例外的に、子供ができない体質の女性がやるもの
  • 結婚してから考えること
だと、大体の女性は思っているはずだ。

だが、日本では3組に1組の夫婦が子供ができず悩んでいる実際に不妊治療へ踏み出すカップルは、15%に及ぶ。そして、不妊治療の平均スタート年齢は33.1歳20代も珍しくはない。
出典:日本生命マイナビニュース

つまり、不妊は「どこにでもありふれた夫婦の悩み」なのだ。

結婚したら子供ができて、SNSに子供の笑顔がいっぱい……なんていうのは、偶然ラッキーに恵まれた夫婦か、実は不妊治療を乗り越えたカップルなのである。

woman and man holding black crib shoes standing near green grass during daytime

そして、不妊治療はお金がかかる。

不妊治療にはタイミングを計って夜の営みをする「タイミング法」から顕微鏡による体外受精までステップがあるものの、不妊治療をした半数の夫婦は、100万円以上を支払っている。その理由は、不妊治療の多くが保険適応外だからだ。

そこまで支払っても、子供ができるのはわずか3割出典:DIME

この壮大すぎる重課金のガチャが控えていることを、結婚前に知らないのは大きなリスクだ。

実際に不妊治療を経験した女性の例

実際に、不妊治療を経験したリサさん(仮名)からお話をうかがった。


結婚したのは26歳。まわりと比べても結婚は早いほうだったし、不妊の可能性があるなんて思ってませんでした

むしろ余裕があるから、今はキャリアに専念して32~35歳で出産したいなって思っていたんです。

person touching person's belly

それが、あるとき子宮筋腫が見つかって。
念のため詳しく検査したら、子供ができにくい体質だと分かりました。で、不妊治療を始めたんです。

不妊治療を開始するも…

初めてからの気持ちは……「とにかく痛い」です。こんなに痛い思いをするとは思いませんでした

まず、子宮卵管造影検査という検査があるんですが、それがノロに感染したときの腹痛に似てました。

お腹が……痛い痛い痛い……

悲鳴が出ちゃうくらい、痛いんです。

私は体外受精まで進んだんですが、その採卵は激痛で。痛みに暴れる私を看護師さんが押さえつけて、どうにか終わって。針で体内を串刺しにされるような痛さで、中世の拷問みたいでした。

person injecting syringe

そのときは「なんで私がこんな目に…ただ赤ちゃんがほしいだけなのに……」と心が折れて、不妊治療を中断しました。芸能人のお子さんができたニュースや、友達の出産も喜べなくなって。「なんで私だけ」とひがんでしまって…。

それから半年後に再開して、それでも子供が授からなくて。夫にも当たり散らしてしまって……。

もう不妊治療をやめよう。それか、離婚しよう

と話し合いました。

結果、不妊治療を断念

私にとって、子供のための結婚だったので本当につらくて、泣きすぎて毎日目がパンパンになって。職場でも心配されて、でも何も言えないんです。

今は不妊治療を中止しています。旦那とも、続いてます。でも、まだ願ってしまうんです。奇跡が起きて、明日妊娠しててくれないかなと。


26歳当時、リサさんが予想もしなかった事態が待ち受けていた。そして、夫婦のきずながいくら強くとも、離婚を考えるほどの苦痛を味わった。

リサさんがおっしゃった以外にも、不妊治療には「病院が平日しかやっていないので、会社を休まねばならない。だが、会社の人に事情は言えない」といったキャリア上での苦痛もある。長引けば、出世に響くケースもあるだろう。

three women sitting beside table

リサさんは特に麻酔が効きにくい体質だったり、不妊治療がステップアップしたため苦痛も長引いた。だが、リサさんは決して珍しい例外ではない。

だから「結婚しよう!」と動く前に、まず考えてほしいことが3つある。

1.結婚したい理由は「子供」?

結婚したい理由が「子供だけ」ならば、子供ができなかった時のことを考えてほしい。

子供が最終的にできなかったら、あるいは不妊治療が長引いて経済的に、あるいは体の事情でつづけられなかったら……あなたはどうする?

特に、不妊の原因の半数は男性由来だ。
あなたは子供を作れるのに、相手が理由で子供ができなかったとき、あなたは離婚せずにいられるだろうか?さらに、相手が「男性不妊の治療をするくらいなら、子供はいいよ」と言い出したら?

grayscale photo of person's back

もし結婚したい理由が「子供だけ」なら、離婚する確率が結構あることを想定してほしい。不妊治療には、愛だけで乗り越えられない壁がある

彼と戦友になる覚悟がないなら、あるいは今のお相手が信頼できないなら……結婚は本当に必要だろうか?

2.実子じゃないとだめ?

子供がほしい、だから結婚したい。幸い、お付き合いしている彼もそう思っている。そこまで分かったとき、次に考えてほしいのは「実子にこだわるか?」だ。

仮に子供ができなかったら、誰かの子を引き取って養子として育てるのはダメか。彼はどう思っているだろうか。

person holding baby's hand

先ほど書いたとおり、夫婦の1/3は子供ができずに悩むのだ。そのとき「血を分けた子でなければならない理由」はあるのかも考えてほしい。

3.これらのリスクを、彼と今すぐ話し合える?

ここまで、不妊のリスクについてお伝えしてきた。さて、この話をあなたは彼とできるだろうか?

「ねえ、もしもだけど。子供ができなかったらどうする?」と、真面目に聞けるだろうか。

もっと言えば、「一緒に検査してみない?」と言って、協力してくれるだろうか。

man and woman holding hands

不妊の半分は男性由来だが、実際に男性が検査にたどり着くまでは年単位の説得が必要なことも多い。妊娠は加齢とともに確率が下がるから、男性がグズグズしている間に、どんどん妊娠できにくくなる。

それなのに、女性が不妊をひとりで抱え込み「なぜ子供ができないんだろう。私の体のどこも悪くないはずなのに」と自分を責めることが多いのだ。

「ねえ、私たちにもし子供ができなかったら、どうする?」という大事な話題を真面目に取り合ってくれない彼は、いざ不妊治療の可能性が出てきたときも「妻が不妊治療を頑張ってるんですよ。僕はよく知らないんですけど、大変そうで」と他人事として捉えかねない。

そんなパートナーなら、たとえ子供を5人産める男性だとしても結婚しないほうがいい。

不妊のリスクをきっかけに、彼と話せるか確認して

不妊のリスクは、結婚前に検診を受けることでわかる。また、少し値ははるが自宅検査キットもある。

「不妊なんて重い話できないよ…そういう検査結果が出たわけでもないのに……」と夫婦の3割が経験することを無視し、

「愛があればなんとかなる」「まさか私たちに限って……」

と恋愛感情だけで進んでしまい、あとから理解のないパートナーを前に涙するのは、あなただ。

そして「不妊の可能性」について真面目に話し合えない彼は、介護や相続・仕事で追い込まれても、きっとあなたを助けてくれない。
だから、これをきっかけに彼が結婚してもやっていけるパートナーなのかを、確認してみてほしい。

そしてもし、検査して子供が作りづらい身体だとわかったら、そのときこそ「結婚って、私にいるのかな」と振り返ればいい。

まだこの世にいない赤ちゃんのために、いきなり結婚する必要はないのだから。

恋愛・就活ライター

トイアンナ

 

 

 

これまでに受けた人生相談は1,000件以上。その相談実績と、慶應義塾大学卒業後、外資系企業でマーケターとして活躍した経験をもとに2015年に独立し恋愛・就活ライターに。

現在は複数媒体に恋愛コラムや就活のハウツーを寄稿する他、就活イベントでの講演・ライター育成講座への登壇・テレビ(NHK他)の取材協力など、幅広く活動。

書籍:確実内定』(KADOKAWA)『モテたいわけではないのだが』(イースト・プレス)『恋愛障害』(光文社)など

過去出演番組:『おしゃべりオジサンとヤバイ女』(テレビ東京系)『最上もがのもがマガ!』『Wの悲喜劇』(AbemaTV

Twitter@10anj10

関連コラム